終わりが近いので駆け足。


情報収集を終えた一同は保須田の指示により、静まり返る休日の校内を進んでいた。

ライア「本当に都合よく幽霊が出てきてくれるかしらね。」

早戸「ん?あれ、誰でしょう?」

早戸が校庭を指差すとそこにはスーツ姿の男が一人佇んでいた。男は誰かを、何かを待っているようだった。この休日の学校で一体、何を待つというのだろうか。一同はゆっくりと男へ近づくと男もこちらに気がつき振り返った。

早戸「あれ?帳先生。」

帳「おや?皆さん、どうしたんですか、こんな時間に。」

不知火「それを言うなら先生こそどうしてここに?今日は学校休みでしょ?」

帳「いやぁ、最近、幽霊騒ぎが過熱化しているだろ?僕も見回りでもしようかと思ってね。」

飯上「志は立派だがあんたじゃ力不足だ。さっさと帰った方が身のためだぜ。」

帳「……そうはいかないんだよ。UGNエージェントの飯上 拝勝。」

早戸「帳先生?どうしたんですか?」

帳「とぼけんなよ。面倒くさいからもうお互いお芝居はなしにしようや。」

明らかに口調が変わる帳。驚愕する一同の前で彼は来ていたピンクのセーターを脱いだ。セーターを脱ぎ終える頃にその顔は既に別人のそれになっていた。(ちょうどジョジョの5部のドッピオからディアボロに変わるシーンをイメージ)

張須「帳先生、じゃない?」

ライア「いえ、あいつは……。」

UGNエージェントならその姿を知る者は多い。白いスーツにメガネ。肉食獣を彷彿とさせる鋭い眼光。ディアボロスの二つ名で恐れられるFHエージェント、春日 恭二。彼はエグザイルの能力を駆使して帳 夏秋という仮初の姿を作り出し、校内に潜入していたのであった。

春日「どうやら校内にいたとされるオーヴァード。お前らに先を越されてしまったようだな。」

張須「な、もう僕たちのことを!?」

春日「FHの情報網を甘く見ないことだな小僧。そもそもこの俺がこの学校に潜入していたのも……。」

ここから春日の壮絶な自分語りが始まり、一同はそれを無視するという流れが続きます。あと前後関係をよく覚えていないけど情報収集春日の口から少女の名前は冬島 あかりという人物であり、彼女もまたこの高校に進学する予定であったこと。UGNが保身のために報告データを改竄したことを暴露する。流れ的にはUGNを汚職組織扱いしてマウントをとるみたいなことを想定してたのだけど結果的にただの情報をくれるいい人になってしまっていた。(春日とはそういうもの)

春日「とにかく、幽霊を隠れ蓑にして学校に巣食うレネゲイドビーイング。利用する価値があるかもしれない。邪魔するのであれば容赦はしない。」

飯上「あ?俺たちにボコられたくなければてめぇが帰んな。このババアとな。」

ライア「あら?40代の浮浪者みたいな見た目の男同士で仲良く帰るのがいいんじゃないかしら。」

3人に増えた40代が醜い争いを繰り広げそうになった時、一同の周りに蛍のような光が灯り始めた。細かい光はやがてひとつになり、少女の姿を形成した。見た目は制服を着た少女だが、そのすべてが純白で宙に浮いている。そしてよく見ればその表情は以前に見た時よりかなり険しいものになっている。

飯上「ようやくおいでなすったか。」

春日「おぉ、これが例のレネゲイドビーイングか。名も無きレネゲイドビーイングよ。我が組織に力を貸せ。組織はお前を歓迎し、その力を存分に奮ってもらおう。」

幽霊「……い。……さない。」

不知火「なんだ……?」

早戸「なんだか様子がおかしい……。」

幽霊「許さない……。許サナイ……!私だって、学校に行って、楽しい思い出を作りたかった。許さない!私の学校で悪いことをする人を許さない!許さない!私の未来を奪った奴らを!!!」

幽霊はそう叫ぶとオーヴァードとしての能力を行使した。彼女が手をかざすと校舎の方から使い古された工具や廃材などのガラクタが一箇所に集まった。ガラクタはやがて金属を纏った巨人のような姿となって一同の前に立ちはだかった。幽霊はその体に溶け込むようにして姿を消した。次の瞬間、巨人は意思を持ったかのようにその巨大な拳を振り下ろしてきた。早戸が猪頭を吹っ飛ばした時にできたようなクレーターが校庭に出来上がる。

飯上「おいおい、完全に暴走しちまってんじゃねぇか。どうすんだよ。」

ライア「どうするって、力ずくで止めるしかないでしょ。言っても聞くような状態じゃないみたいだし。」

早戸「このままでは学校だけじゃなく、周りにも被害が及ぶかもしれません。」

不知火「やること決まってんならさっさとカタをつけちまおうぜ。」

張須「やりましょう。僕たちの力で。」

一同が幽霊を迎え撃つ構えをとるとそこに春日も並び立った。

飯上「お?なんだ、いつもみたいに逃げるんじゃないのかよ。」

春日「馬鹿を言うな。俺はFHだぞ。言ってきかないなら力で従わせるだけだ。」

ライア「あなた本気?」

春日「UGNの犬ども。不本意ながらここは協力してやる。だがあくまで俺はレネゲイドビーイングを回収するために戦わせてもらう。」

早戸「春日さんが私たちと?」

春日「ククク、ガキども、よく見ておけ。これが能力の使い方だ。」

春日は張須たちに獰猛な笑みを見せながら戦闘体勢をとった。ここにUGN井出地支部に春日を加えた6人による学園の防衛戦が始まろうとしていた。


続く

今回、お試しでNPCがパーティーに加わるという手法を取り入れてみました。これだったらもっと敵側の戦力多めにしてもよかったかもしれない。

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