台風は通り過ぎた……?

前回、最高の無実を証明するために行動を起こそうとする張須と不知火。級友を救うために自分も力になりたい。そう考えた蒼井はある提案を二人に持ちかけるのだった。
同じ頃、早戸はUGN井出地支部の支部長、保須田から定時連絡を受けていた。


保須田「早戸くん、そちらの方はどうだね。」

早戸「はい、ご存知の通りかと思いますが、遂に在校生に被害が出ました。ですが、以前からマークしていた彼ら。監視を続けていますがどうも彼らとは別の存在によるものだと思われます。」

保須田「そうか。こちらも関連のありそうな過去の事件を調べている。何しろ叩けばホコリが出てきそうな案件もあると聞くからな。」

保須田は前任の支部長が取り扱っていた案件の洗い直しを行っていた。彼が招聘されたのはこの支部を立て直すこともそうだが、前支部長が行っていた杜撰な管理、不正の有無を確認する役割も担っている。

保須田「君はそのまま調査を続けてくれ。私は飯上くんにも連絡をとってみる。何かあれば協力してくれるだろう。」

早戸「わかりました。では、失礼します。」

電話を切るとこちらに駆け寄ってくる蒼井の姿が見えた。そして張須と不知火と同様に彼女に屋上へと呼び出されたのだった。


不知火「で、話ってのは?」

蒼井「やっぱり先生たちは最高くんを犯人だと思ってるの?」

張須「校長先生以外はそれについて否定的みたい。けれども状況証拠で最高くんが不利なのが現状ってところだね。」

早戸「校長先生、幽霊騒ぎのことも全然信用してないみたいだからね。こじつけて全部の問題を最高くんに押し付けようとしてるんじゃない?」

蒼井「そんなの許せないよ。私たちで真犯人を捕まえて最高くんの無実を証明してあげようよ。」

不知火「でもどうするんだ?まぁあてがあって俺たちを集めたんだろうけど。」

蒼井「勿論よ。」

そう言って蒼井は懐から何やら工具を取り出した。工具と言うよりは早い話がピッキング犯が持っていそうなアレである。蒼井はそれを一同に見せながら話を続ける。

蒼井「相手が幽霊であれ人間であれ、一連の事件は夜に起きてるでしょ。でも普通にいけば私たち生徒はその時間まではいられない。そこで、忍び込むのが早いかなって。」

早戸「蒼井さん、でもそれって、悪いことよ。」

不知火「それなら文化祭の作業で残るっていう体でいいだろ。今だったら申請して許可がもらえれば多少、遅くまで残れるし。」

蒼井「でも、こんな状況だし、先生たちが許してくれるかどうか……。」

一同が今後の行動計画を立てているとそこに飯上が現れた。彼の姿を見つけて蒼井は手に持っていた危ないモノを慌てて隠す。飯上は一同の姿を確認すると気だるげに歩み寄ってくる。

飯上「おぉ、お前ら。屋上は勝手に出ると危ないぞ。」

蒼井「すいません。私たち、文化祭のことで話し合いをしてて、その……。」

飯上「わかってるよ。話はだいたい聞かせてもらった。放課後も残りたいんだろ?」

一同「え?」

飯上「書類は俺が適当になんとかしといてやるよ。」

蒼井「でも、今、こんな状況だし、校長先生は許してくれんですか?」

飯上「大丈夫だ。校長先生は俺がエフェクトでなんとかしといてやる。それに、今日は俺もしばらく学校に残ってる予定だしな。」

ライア「あら、優しいじゃない。ちなみに私も今日は保健室に残ってるから安心していいわよ。」

飯上の登場を見計らっていたかのように現れたのはライアだ。彼女の姿を見ると飯上はやや表情を曇らせながら向き直った。

飯上「そういえば、昨日の夜は保健室から喘ぎ声が聞こえてきてうるせーなと思ってたんだが、あれもお前か?」

ライア「醜悪な見た目のおじさんは考えまでも邪になるのかしら。あなたには関係のないことよ。」

一同「せ、先生、ありがとうございます!では、失礼しまーす!!」

何やら危なげな匂いを感じ取った一同は教師二人をその場に残してそそくさと屋上を後にした。こうして放課後も学校に残る免罪符を手に入れた張須たちは学校を騒がす犯人を捜すこととなった。果たして彼らは犯人を捕まえることができるのか?


続く



ここの場面、どうやってPCたちを夜の学校に残すかが問題だったんですが、夜の学校といえば忍び込むという尾崎豊的発想しか頭になかった自分は作業を名目に居残るという正攻法を完全に失念してた。
生徒たちが校長とひと悶着する展開も考えていたんですが飯上ことせんさんがナイスロールしてくれたのでスムーズに進行できました。

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