どうも。前回で謎解きやら戦闘を交えたストーリーは終了になりました。最後は各PCのエンディングパート。原江教授の護衛任務を終えた一同は暫し、日常へと回帰していきます。



・野望の結末(共通エンディングパート)

高潔の魔手から原江家の人々を護ることに成功したUGN神河支部とその仲間たち。過去の悪事も明るみとなり高潔は投獄されることとなった。余罪も時期に世に知れ渡る見込みであり、縁粕グループの損害は計り知れないものだろう。
それと同時にFHも目立った活動はなくなり、原江教授や真魚からは一切の手を引いたようである。今回の一件を機に原江教授は真魚に過去の出来事を打ち明けることを決心する。そして陽にある依頼をするのであった。


・謎は尽きない(PC⑥エンディングパート)

原江教授からある依頼を受けた陽はそれを実行し、仕事の合間に報告書にまとめているところであった。その依頼とは真魚の体の調査だった。真魚には怪我がないかの確認と健康状態のチェックも兼ねての検査だと伝えていた。真の目的は真魚の体の中に移植されたレイモスの経過であった。検査の結果、陽は意外な結果を知ることとなった。それは、真魚の心臓にはレイモスはおろか、真新しいエネルギーの痕跡などなかったという事実である。この結果から陽は幾つかの仮説を立てた。
ひとつは実は真魚は無自覚にオーヴァードに覚醒していたのではないかということである。移植手術を境に怪我や病気知らずになったという経緯から考察した。(一部割愛)
もうひとつはそもそもレイモスそのものが存在していなかったという説だ。医療の世界にはプラセボという言葉がある。錠剤と偽られたラムネを飲んだだけなのに効果があるように感じるあれである。本来は真魚の生命力が病魔に勝っていたのかもしれない。恐らく天樹も得られた情報から予測的に臨床実験を行った結果この仮説に行き着いたのではないだろうか。そんなところだ。

生明「先生、先生にお客様がみえてます。」

陽「客?はて、一体誰かネ?」

誰かと約束などしていたか。記憶にない来客であったがひとまず通すように伝えた。それは意外な人物との再会であった。

夜華「ど、どうも……。せ、せん、先日は、しっ、失礼を……。」

陽「……まぁ、かけたまえヨ。」

突然の来客、夜華にやや戸惑いを覚えた陽。しかし彼女に少し興味があるのも事実であった。陽は彼女を気遣って水を差し出す。

陽「ひとまずこれでも飲んで落ち着きたまえ。」

夜華「あ、は、はい……。」

夜華は陽が差し出した元気になる水を飲み干し、コップをショットグラスよろしくタンとテーブルの上に置いた。そして静かに喋り始めた。

あなたに今回の護衛任務の報酬を支払います。理由はもちろんお分かりですね?
あなたが無事に原江教授の護衛に成功したからです。覚悟の準備をしておいてください!近いうちにまた来ます。振込先の確認もします。神河支部にも問答無用で来てもらいます。受け入れの準備もしておいてください!あなたは元研究者です!原江教授とまた再会する楽しみにしておいてください!いいですね!


バタン!

夜華はひとしきり喋って要件だけ伝えると急いで医院から出て行ってしまった。呆気にとられた様子の陽。

陽「やれやれ、今度また治療をするのが楽しみだネ。」

陽は静かにそれでいて不気味な笑みを浮かべていた。



・縁の切れ目(PC⑤エンディングパート)

今回の一件で上層部からの評価も一気に上がった国生。これで晴れてカタギに戻れたというわけだ。非番であった彼は久しぶりに卍空の暖簾を潜ろうとしていた。店先に差し掛かったところで彼は意外な人物に再会する。

「「あ。」」

ほぼ同時の声が出た。目の前に現れたのは今しがた食事を終えたと思われる春日であった。彼は咥えていた爪楊枝を吐き捨てると国生を睨みつける。

春日「おぉ、調子はどうだ?裏切り者。」

国生「もう俺はFHじゃねぇ。あんたには関係ないだろ。」

寅辺「春日ちゃんったら、国生ちゃんがいなくなっちゃって寂しいって愚痴ってたんだよ。」

春日「オヤジ、デタラメ抜かしてんじゃねぇ!」

春日は照れ隠しなのか派手に怒声を飛ばしてみる。元ダメ上司とはいえ意外な一面に国生は少しほっこりした。

春日「とにかく、今日のところは見逃してやる。だが次、任務で会った時はこうはいかない。FHにいればよかったと後悔させてやる。それと……これは餞別だ。くれてやる。……達者でやれよ。」

そう言って春日は何やら紙の束を国生に手渡した。そして春日は町の中に消えていった。

寅辺「まったく素直じゃないんだから。」

黙って春日を見送る国生。ところで紙の束の正体はなんだろうか。彼が見てみるとなんとそれはラーメンの割引券であった。神河屋の。

国生「……。」



・華麗なる幕引き(PC④エンディングパート)

事務所に戻った左は時代遅れのタイプライターで今回の依頼の報告書を作っていた。そこに来客が現れた。最早、記憶の彼方に消えてしまいそうだったが思い出した。依頼人の今田である。

今田「左様、今回は本当にありがとうございました。旦那様や奥様、お嬢様も段々と元の生活に戻っておられます。」

左「そうですか。それはよかった。それで報酬は所定の口座に振り込んでいただけましたか?」

今田「えぇ、もちろんですとも。ところで……質草になっていた私の歯は……?」

左「何を言ってるんですか。それならあなたの手元に戻っているじゃないですか。」

そう言って左は指をパチンと鳴らした。すると不思議なことに今田のポケットの中に彼が大事にしていた義歯が戻っていた。

今田「おぉ……、左様、私は、なんとお礼を申し……。」

千年「頼兎!この前の入れ歯の売却ルートのことd……。」

慌ててポケットディメンジョンで千年をしまい込む左。少し嫌な沈黙が空間を流れたがそれでも今田は笑顔で会釈をして事務所を後にした。やれやれといった様子で左は千年を取り出す。

左「ったく、ヒヤヒヤさせんな、相棒。」

千年「それよりも聞いてくれ、頼兎!この前調べたタピオカなんだが、キャッサバというものから作られているらしいんだ!」

左「わかった!今度は俺が調べ物に付き合ってやるから、出かけるぞ!」

左は上着と帽子を手に取って支度をした。また忙しくなりそうだ。



・幸か不幸か(PC③エンディングパート)

任務を終えて支部の業務に戻ってきた古戸。上層部からの評価は得られたものの激務が待っていることに変わりはない。あくせく働く彼のもとにまた頭痛の種がやってきた。

明神「古戸、今回の件はよくやってくれたな!関東支部の会合でも話題になっていたよ。」

古戸「ありがとうございます。優秀な人材を集めてくださったおかげです。」

明神「そうか。それと喜べ。上層部が今回の働きを受けて増員を許可してくださったんだ。おい!入りたまえ!」

明神の声に入室してきたのは最近よく見た顔、高潔の用心棒と思いきや最後まで善に徹していた御稜吹の姿であった。

明神「雲宮くんの推薦だ。国生くんと同じできっと大いに活躍してくれることだろう。」

古戸「は、はぁ……。」

明神「期待しているぞ。あ、それともうひとつ。蓮村くんが狙っていたスマホ太郎。奴の所在がわかったらしい。君たちには蓮村くんとともに奴の討伐に向かってもらおう。行けるよな?

古戸「はい!やらせていただきます!」(血涙)

彼の頭痛が止むことはない。彼の中指が下げられることはない。



・二人の行方は……(PC②エンディングパート)

護衛任務を終えて特別に休暇を与えられていた御井と荒坊。二人はいつも情報交換に使っている喫茶店に来ていた。

御井「もう!拝山くん、また遅刻!」

荒坊「悪ぃ。でも一時間半ならギリセーフっしょ?」(何言ってんだこいつ)

そう言いながら談笑する二人。そんな御井だったが背後から誰かに見られているような感覚を覚えていた。直に見てはいないが彼女の予感は当たっていて、彼らの近くの席では空野と月島がバレバレな変装をしながら御井を監視していた。

荒坊「……なぁ、お前高校卒業したらどうするんだ?」

御井「うーん、大学に行くかもしれないけどUGNには結局残るんじゃないかな。」

荒坊「……そっか。」

御井の返事を聞いた荒坊は心なしか笑顔がこぼれているようであった。御井には背後の二人の存在もあって真意を読み取ることはできなかった。

荒坊「このあと買い物でも行こうぜ。新しくできたショッピングモール。」

御井「いいね、行きましょう。」

近くでキャーキャー騒いでる同級生二人を尻目に二人は店を出ると並んで町の中に消えていった。



・心の革命(PC①エンディングパート)

夏休みもまだ序盤という時期。進路がまともに決まっていなかった子嚢崎は担任の望月教諭に呼び出され、指導を受けていた。

望月「とにかく進学なり就職なり、いずれにせよ休み中に見学には行くんだぞ。あっという間に大学受験だって始まってしまうしな。」

子嚢崎「うっす。」

子嚢崎は一礼すると進路指導室を後にした。廊下で彼を待ち構えていたのは世良屋だった。

世良屋「おい、なんでYoutuberの話しなかったんだよ。俺と組んでやるんだろ?」

子嚢崎「そうなの?

二人がそんなやりとりをしていると子嚢崎の目線にある生徒がとまった。それは真魚の姿であった。

真魚「子嚢崎先輩。」

子嚢崎「おぉ、ちゃんマナ。」

つい最近まで顔も知らなかった二人。いつの間にか顔見知りになっていた二人に動揺を隠せない世良屋。

世良屋「お、おい、どういうことだよ。ちゃんと説明しろ……。」

望月「お前はこっちだ!」

望月教諭に進路指導室に引きずり込まれる世良屋。邪魔者がいなくなった二人は夏の中庭を歩いていた。

真魚「この前は命を助けて頂いて本当にありがとうございました。」

子嚢崎「気にすんなよ。元気そうでよかった。」

真魚「私、今回の一件で自分の命がいろんな人に助けられながらここにあるんだなって考えました。私、この経験を伝えられるために医療のことを勉強しようと思うんです。」

子嚢崎「今のうちからそんなことを考えられるなんて、ちゃんマナは立派だな。」

真魚「そんな……。子嚢崎先輩はこれからどうするんですか?これからもUGNに?」

子嚢崎「具体的にはまだ決まってねぇんだ。ただ……弱い奴を利用したり、他人を見下しながら生きる、そんなダセぇ大人にはなりたくないんだ。」

真魚「……かっこいい考え方じゃないですか。私、先輩のこと応援してます。」

そう言う真魚の顔は笑顔に溢れていた。初めて出会った時は無機質な表情であったが今は飾り気のない笑顔がそこにはあった。それを見た子嚢崎もつられて笑顔になる。若き彼の人生に長く短い1ページが加えられるのであった。

Fin.



はい、終わりました。長々と読んでくれていた方、最後まで読んでくださってありがとうございました。
自身初のGMで手がけたストーリー。少しでもダブルクロスに興味を持ったり、楽しんでいただけたのなら幸いです。ストーリーはこれで終わりですが、今度はGM目線で今回のセッションの反省やこぼれ話などを書いていければと思います。反省は続く。

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